この記事は、退職を決意した方が退職までにやっておくことを記載した記事になります。
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家族の理解を得る
退職を検討している段階で相談していれば話は早いですが、世の中そんな甘くありません。自分一人で考え込み限界を迎えて突発的に退職することもあります。ですが、生活を共にしている家族がいる方は、仕事を勝手に辞めることはしてはいけません。家庭内トラブルの基になります。
辞めたいと相談したときに間違いなく聞かれることは、なぜ辞めたいのか、この先どうするか、の2点です。この理由が曖昧なままだと理解を得ることは難しいでしょう。そして、一番大事なことは嘘偽りなく正直に話すことです。
変に嘘をつくと辻褄が合わなくなり、結果的に家族として信頼できないから一緒に暮らせません、なんて結論を出されかねません。
退職したい理由を明確に説明すること、退職後のプランを明確に説明することを実行してください。
会社都合退職に該当するかどうか
会社の倒産や解雇は会社都合になりますが、労働条件の不一致やハラスメント、慢性的な長時間労働も会社都合で退職できるケースがあります。ただし、違法・違反等を犯しての懲戒解雇は自己都合退職扱いとなります。
会社都合での退職のメリットは、失業保険給付において優遇されることです。給付時期が早く受け取れるようになることと、給付期間が長くなります。
一方デメリットとしては、会社側にはペナルティはあるものの、労働者側には特に何もありません。しいて言えば、能力不足でのリストラだった場合、転職の際に少し悪印象となるくらいでしょうか。まああまり気にするようなことではありませんね。
退職届を提出する
まず初めによくある勘違いが辞表・退職願・退職届の違いについてです。
- 辞表
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会社の役員または公務員が提出するものです。一般の会社員には関係ありません。
- 退職願
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退職の意向があるとの意思表示をして相談したいことがある場合などに提出します。正式には退職が決定するわけではありません。退職の意思が強い方は提出の必要はあまり感じられません。
- 退職届
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退職の宣言をするものです。直属の上司に提出しましょう。
上司からあれこれ理由を聞かれると思いますが本心は言わなくていいです。立つ鳥跡を濁さずというように、最後まで穏便に辞めるなら当たり障りのない事を言っておきましょう。本音と建前の使い分けは社会人なら当然のことです。
法的には2週間前までに提出すること。ただし円満での退職を目指すなら、1~3ヶ月前が望ましいです。大きなプロジェクトを遂行中なら、プロジェクトの切れ目で比較的忙しくなくなる時期がいいしょう。
ただし、心身ともに限界を迎えているならプロジェクト遂行中の退職も労働者としての権利です。結局のところ自分が一番かわいいし、健康が一番大事なので無理は禁物です。
引継ぎ資料の整理
引継ぎが曖昧だと退職後も電話がかかってくることがあります。会社に損害を与えないよう最低限の必要事項は必ず行いましょう。後々の自分の為でもあります。
退職届を出すのが怖い、逃げ出すように辞めたい場合
近年では退職代行サービスというものがあり、退職代行業者に3万円程度で依頼することができ即日退職できます。
しかしデメリットがあります。法的には退職は退職日の2週間前までに意思表示をしなければなりませんので、退職自体が認められない、もしくは損害賠償を請求される可能性がでてきます。もしあなたが重要なプロジェクトを遂行中なら、会社は大きな損害を被る可能性があるため尚更です。他には、給与が最終月の給与が支払われなかったり、離職票などの退職に必要な書類が手元に届かないことが想定されます。その場合は、急に辞めてしまった手前直接会社と連絡とることが難しくなるので、労働基準監督署や弁護士などに相談するといった余計な手間がかかるかもしれません。結果的に、正規の方法で退職したほうがトラブルは起こりにくいのが現実です。
退職代行を依頼する場合は、退職後のアフターフォローなどが充実している信頼できる業者を選定してください。

実際に退職が受理されたら
ここでは実際に退職が受理されたあとの、退職前後にやるべきことを記載しています。
退職前・退職時にやること
貸与品等の返却
返却しないと横領になります。身の回りのものをキチンと確認しましょう。
- 健康保険被保険者証
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本人だけでなく、家族の分も忘れずに返却しましょう。
- 業務上の書類やデータ
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業務で知り得た情報は外部に持ち出してはいけません。
- 会社からの支給品
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社員証、制服、社用携帯など身の回りのものは一通り確認しましょう。
- 社費で購入したもの
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文房具などの少額なものであっても所有権は会社に帰属されます。
- 通勤定期券
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期限が残っているものは清算しましょう。
手続き関係
- 退職所得の受給に関する申告書
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退職金受給の際に、基本的には会社から渡されるので記入してから会社へ提出します。これにより年末の確定申告が不要となります。
会社から受け取るもの
- 雇用保険被保険者証
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会社が保管している場合と、自分で所持している場合があります。事前に確認しておきましょう。転職の際には、提出を求められます。
- 年金手帳
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会社が保管している場合と、自分で所持している場合があります。事前に確認しておきましょう。転職の際には、提出を求められます。
- 離職票
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失業保険の給付を受けるなら必要になります。転職先で確認を求められることもありますので必ず受け取りましょう。受け取りのタイミングは退職日の数日後になります。
- 退職証明書
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離職票を受け取れるのが退職日の数日後になるので、その間の各種手続きは退職証明書で代用できます。自ら申し出ないと作成してもらえない場合がありますので注意が必要です。
- 源泉徴収票
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転職先への提出や確定申告の為に必要になります。受け取れるのは退職日の数日後になります。
- 健康保険資格喪失証明書
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会社で加入していた健康保険を任意継続する場合に必要になります。受け取れるのは退職日の数日後になります。
上記のものは今後必要になりますので、忘れずに受け取りましょう。また、受け取り方法は自宅に郵送してもらうのが一般的ですが、直接会社に出向いて受け取ることもできます。事前に確認しておきましょう。
万が一受け取り忘れたり紛失した場合でも、手続きによっては他のもので代用できることもありますので、詳しくは各種手続き先の窓口で確認してください。
退職後にやること
すぐに転職する場合
転職先の指示に従ってください。基本的には以下の物を提出する必要があります。
- 源泉徴収票
- マイナンバー
- 保険者証
- 健康保険被扶養者異動届
しばらく転職しない場合
しばらく転職しない場合でも、転職の際には「✔すぐに転職する場合」に記載したものの提出が必要となります。なくさないように保管しておいてください。
また、以下の手続きが必要となります。
- 失業保険の給付手続き
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管轄のハローワークにて、給付申請を行います。必要なものは、離職票または退職証明書など退職したことを証明できるものです。
- 健康保険の手続き
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健康保険の手続きは以下の3つから選択することになります。
収入状況、扶養家族の人数などにより保険料が変動しますので、比較してから選択してください。
- これまで会社で加入していた健康保険を任意継続する。
- 退職後20日以内に、会社または健康保険協会で行います。※加入できる期間は最大2年間までです。
- 新しく国民健康保険に加入する。
- 退職後14日以内に、住所地の市区役所または町村役場で行います。
- 家族の健康保険で扶養に入る。
- 退職後速やかに、家族の勤務先で行います。
- これまで会社で加入していた健康保険を任意継続する。
- 国民年金の手続き
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会社員や公務員として勤務していたときは、第2号被保険の加入をしています。
退職後は第1号被保険か第3号被保険から選択することになります。
- 第1号被保険者(自営業者や学生など)
- 退職後14日以内に、住所地の市区役所または町村役場で行います。
- 第3号被保険者(第2号被保険者である配偶者に扶養される場合)
- 退職後速やかに、家族の勤務先で行います。
- 第1号被保険者(自営業者や学生など)
- 住民税の手続き
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1月から5月に退職した場合は、最後の給与から一括で天引きされます。
6月から12月に退職した場合は、退職月以降は自分で納める必要があります。
退職後速やかに、住所地の市区役所または町村役場で行ってください。
- 所得税の返還手続き
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年の途中で退職した場合、確定申告を行えば払い過ぎた所得税の還付を受けることができます。万が一忘れていても、退職した翌年から5年以内なら申請可能です。
場合によっては必要な手続き
退職金受け取りの際に、退職所得の受給に関する申告書を会社に提出していない場合は、退職所得控除の適用されておらず、税率20.42%で源泉徴収されているため、確定申告により払いすぎた金額を還付できます。