消火器には業務用や住宅用などがあるため、もちろん自動車用消火器があるのは当然といえば当然です。場面に適したものを使用することで、安全かつ迅速に対応することができます。
自動車用消火器の設置基準は?
自動車用消火器には設置基準が設けられており、道路運送車両の保安基準により、火薬類・危険物・高圧ガス・放射性物質などを運送する自動車や乗車定員11人以上の自動車・幼児専用車などには、消火剤の種類及び充てん量、構造、取付位置等に関し告示で定める基準に適合する自動車用消火器の設置が義務付けられています。なので、普段の生活で使用する自家用車であれば設置の必要はありません。とはいえ、整備不良や事故により火災が発生することも十分ありうるので、万が一の火災の為に車内で常備しておくことを推奨します。
自動車用消火器は他の消火器と何が違うの?
自動車用消火器は他の消火器と比べ耐振動性が耐性が高いことが特徴と言えます。というのも、走行中の車内では常に振動を受け続けるからです。このため「消火器の技術上の規格を定める省令」の耐振動試験に合格した消火器のみ自動車用消火器を名乗ることができます。
保管上の注意として、車内へ消火器を取り付ける際は振動を極力与えないようにするするため付属のブラケットで固定する必要があります。また、他の消火器と同様に言えることですが耐熱温度については概ね40℃までとされています。それ以上の温度になると正常に使用できない可能性があるため、夏季などは特に直射日光を避けるなどして保管温度に注意を払う必要があります。
自動車用消火器の消火能力
まず始めに火災は、A火災・B火災・C火災に分類されますが、
- A火災=普通火災=木材・紙・繊維などが燃えるの火災
- B火災=油火災=油類が原因によって発生する火災
- C火災=電気火災=電気設備・電気器具のショートなどによって発生する火災
といった分類となります。
自動車用消火器は業務用消火器と同様に、消火の能力を能力単位で表しています。
能力単位とは「Aー2・Bー3・C」といった表示で表されますが、
- A火災としての能力単位は「2」
- B火災としての能力単位は「3」
- C火災は、どの消火器にも共通して能力単位が設定されていません。
一般的には、消火器のサイズが大きくなるほど能力単位も大きくなります。
そしてこの能力単位の活用方法ですが、防火対象物に指定されている各施設毎に消火器を何本設置する必要があるかの根拠となる算出面積が設定されています。建物の面積からこの算出面積を割った数字が必要能力単位となります。
例えば、建物の延べ面積が1000㎡の建物があったとしましょう。そして消火器の能力単位は、Aー2・Bー3・Cだったとします。
必要能力単位は、
A火災:建物の延べ面積1000㎡÷算出面積100㎡(施設によって異なる)=必要能力単位10
よって必要本数は、
A火災:必要能力単位10÷消火器の能力単位2=5本
といったように、建物に対する必要な本数が計算できるようになっています。
消火器の設置基準には、その他にも細かい基準が設けられていますが、そもそも普段使いの乗用車には自動車用消火器の設置義務は対象外なのでここでは割愛します。
消火器の点検
消火器はいざ使用する際に使えなかったということがないように定期的な点検が必要になります。点検頻度は最低でも半年に一度を目安に点検しましょう。
点検方法については、試しに放射してみるわけにはいきませんので基本的には目視での確認になります。以下の項目を確認しましょう。
- 安全栓が外れてないか。傷や変形がないか
- レバーに傷や変形がないか
- 本体容器の底や側面に傷や変形がないか
- ホースに劣化や損傷、詰まりがないか
- 使用期限が切れていないか
- 指示圧力計の指針は規定のゲージ内に収まっているか(蓄圧式のみ)
異常があれば使用期限内であっても交換しましょう。
消火器の処分
自動車用消火器の使用期限は概ね5年〜10年程度に設定されています。ですから使用期限を過ぎたものや点検で不備があるものは適正に処分する必要があります。しかし消火器は一般のゴミとして処分することはできません。
消火器を買い替える場合は、消火器の販売店に引き取ってもらえる場合がありますのでお問い合わせください。個人で処分する場合は、指定引取場所(※消火器リサイクル推進センターホームページより検索することができます)へ持ち込むことで処分することができます。
