住宅用火災警報器の種類や特徴、選び方は?

万が一火事が発生した時、初期消火を行うことで火災の被害を最小限に抑えることが可能性になります。しかし火災が起きていることに気付かなければどうしようもありません。それを解決するアイテムのひとつが火災警報機です。適切に設置していち早く察知できる状態を作り上げましょう。

とはいえ、いち早く火災を察知する設備だけでは準備が足りていません。迅速に初期消火を行うために、小型で取り扱いしやすい家庭用消化器や火元に投げ入れるだけの投てき式消火剤なども同時に準備しておくことが望ましいです。

消防庁によると令和3年度における総出火件数は 35,077 件ですが、その内建物火災が19,461件です。更に細かく見てみますと、建物火災の内、住宅火災(一般住宅、共用住宅、併用住宅)が10,656件でした。その内訳は以下の通りです。

第1位「こんろ」1,742 件(16.3%)
第2位「たばこ」1,175 件(11.0%)
第3位「ストーブ」809 件(7.6%)
第4位「放火」665 件(6.2%)
第5位「配線器具」639 件(6.0%)

上記の発生件数の内、死者数は999名です。放火自殺者等を除くと913名となります。

その内訳は以下の通りです。

第1位「たばこ」123 名(13.5%)
第2位「ストーブ」105 名(11.5%)
第3位「こんろ」44 名(4.8%)
第4位「電灯電話等の配線」41 名(4.5%)
第5位「配線器具」3 名(3.6%)

発生件数はこんろが一番多いにもかかわらず、死者数はたばこが一番多いです。

これらのデータから死者数が多い理由を考えますと、

  • 寝たばこをしてしまった。
  • ストーブを付けたまま眠ってしまった。

といった原因が考えられるのではないでしょうか。もし仮に警報機が作動して目を覚ましていたのなら、違う結果があったのかもしれません。

目次

住宅用火災警報器の設置義務

消防法により全ての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務付けられています。

1階建ての平屋やアパート・マンションであれば、寝室は必須です。2階以上の建物なら寝室と階段に設置する必要があります。その他の設置場所は各自治体の条例によって異なりますが、居間や台所や廊下に設置する条例の地域もあります。

住宅用火災警報器には感知する方式が、煙・熱・炎などを感知して警報を鳴らすのですが、前述した寝室や階段へ設置する火災警報器の感知方式は、煙式(光電式)の火災警報器を設置することになっています。台所などの煙や湯気が発生する場所では熱式(定温式)の火災警報器の使用が適しています。

まだ設置してない人は今すぐ設置しましょう。

住宅用火災警報器の種類と特徴

住宅用火災警報器の種類と特徴について、この記事では「感知の種類」「設置場所」「警報方式」「電源の種類」「連動型・単独型」「その他の特徴」の6項目を挙げてみます。

種類や特徴を理解して、用途に合わせて選びましょう。

感知の種類

感知の種類には、主に「煙式感知器」「熱式感知器」「炎式感知器」の3タイプ存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。

煙式感知器

光電式とイオン化式などがありますが、住宅用で一般的なものは光電式です。光電式は火災による煙を感知して反応するタイプです。仕組みとしては、警報器内部に煙が入ることにより光が煙によって反射して、受光部に光が当たることで感知となります。感度は1種・2種・3種で分類されますが、1種が一番感度が良く3種が一番感度が悪くなります。住宅用であれば2種を使用することが一般的となっています。

注意点として調理中の煙や湯気、タバコの煙に感知して作動することがあります。

熱式感知器

定温式や差動式と表記されますが、定温式は火災により周囲の温度が一定温度以上になると感知するタイプです。一方で、差動式は周囲の温度上昇量が一定以上になると感知します。

定温式は調理中の煙や湯気などには感知しないので、特に台所での使用が適しています。感度は、特種・1種・2種の3つ分類されており、特種が一番感度が良いです。住宅での使用は感度が特種で、感知する温度は60℃〜65℃程度に設定されていることが一般的です。

一方で、差動式は調理中の火の影響で台所の室温が急激に上昇する場合に感知してしまう可能性があるため、あまり適していません。感度は1種と2種に分類され、1種の方が感度が良いです。適している設置場所は、煙式感知器と熱式感知器(定温式)が適していない場所ということになりますが、喫煙室が最も適しているのではないでしょうか。

炎式感知器

火災により放射される紫外線や赤外線を感知するものです。赤外線式・紫外線式・併用式などがあります。使用に適している場所は、天井が高い施設などの天井に設置する場合です。天井が高いと煙が分散されて感知まで時間がかかること、温度上昇を感知するまで時間がかかることなどが理由です。

しかし赤外線と紫外線は太陽光や蛍光灯、一部の家電などからも発生しているため誤作動がよく見受けられます。

以上のことから住宅用としては、あまり適していません。

設置場所

設置場所は主に「壁掛け式」「天井式」の2種類存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。

壁掛け式

壁に掛けて設置するタイプです。取り付けや取り外し、日々の点検を考えれば、壁掛け式の警報機のほうが管理が楽です。

天井式

壁に付けたくなければ天井に取り付けることができるものもあります。壁・天井のどちらにも設置できる商品も多くありますので、こだわりがあれば確認してから購入してください。

※取り付け位置の注意

感知器の種類や製品の仕様上、取り付けに適していない位置が存在します。万が一の場合に正しく作動するように、取り付けの際には取扱説明書をご覧の上、適切な位置に設置するようにしてください。

警報方式

警報方式は主に「警報音」「警報灯」の2種類存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。

警報音

消防法により、1m先で70dB以上との基準が設けられています。一般販売されているものはこの基準にクリアしています。テレビやその他電化製品の音と誤認しないよう、メーカー毎に様々な種類の音を工夫しています。ちなみに70dBの音量は、セミの鳴き声や掃除機の音と同程度だと言われています。

警報灯

耳が遠いお年寄りや、工事などの騒音で音が聞こえにくいときにでも認識できるよう、ライトが点滅してお知らせしてくれる機能です。

電源の種類

電源の種類は主に「コンセント式」「乾電池式」「内蔵リチウム電池式」の3種類存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。

コンセント式

コンセント式はプラグをコンセントに差し込んで使用するものです。コンセントの位置によって使用位置が限られますが、コードが付いている商品もあります。邪魔にならない位置にコードを配線する必要があります。

電池切れの心配はありませんが、地震や雷などの災害が発生し停電した場合に作動しなくなるデメリットがあります。

乾電池式

乾電池式の警報機はどこにでも設置できるメリットがありますが、液漏れや白い結晶が発生することもあり、日々の点検が必要です。また、リチウム電池に比べ電池寿命が短い傾向にあります。

内蔵リチウム電池式

リチウム電池が内蔵されたものです。電池寿命はおおよそ5年〜10年程度で設定されているものが多いですが、オプション購入で電池を交換できる製品もあります。しかし、住宅用火災警報器の寿命は大体5年〜10年(製品によって異なる)で交換の目安となりますので、電池の寿命が来た時が買い替え時だと思いましょう。

連動型・単独型

警報機には「連動型」「単独型」の2種類存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。

連動型

複数の警報機の内、1つが感知し作動すれば他の警報器も作動して警報を鳴らすものです。例えば、1階に取り付けた警報機が火災を感知すると、3階に取り付けた警報機も作動して危険を知らせてくれます。よって広い住宅などで使用することが想定されます。また、インターフォンを通じで屋外にも警報を発する商品もありますので、こういった場合は通行人の通報や初期消火への協力が期待できます。

このようにな使い方をしたい場合には、連動機能付き商品を購入しましょう。

単独式

複数の警報機が連動せず、単独で感知し作動するものです。連動型に比べて安価で購入することができます。ワンルームなどの狭い場所での使用に適しています。

その他の特徴

警報機の製品には様々な機能があるため、一概にどれがオススメとは言い切れないのが現状です。そこでそれぞれどのような機能を持ち、どのような特徴を有するのか「使用環境」「即時警報型」「自動試験機能」「電池切れ検出機能」「自動復帰式」「感度補正機能」「自動通信テスト機能」の7項目を挙げてみました。

使用環境

極寒の地域や極暑の地域では正しく作動しない可能性があります。また、結露に弱く正しく動作しなくなる原因となります。住宅用の警報機では概ね0℃〜40℃に設定されているものが一般的です。

即時警報型

煙や熱などの対象物を感知した時、即座に警報を発する機能です。

自動試験機能

定期的に自動で動作確認をし、もし故障があればお知らせしてくれる機能です。

電池切れ検出機能

電池の残量が残りわずかになった段階で、お知らせしてくれる機能です。

自動復帰式(自己復旧式)

煙や熱などの感知する対象物がなくなると自動的に警報が停止し、監視状態に戻る機能です。もし誤作動を起こしたとしても、その後自動で復旧してしっかりと監視を続けてくれます。

感度補正機能

使用経年による感度の変化を自動で補正する機能です。検出部の汚れなどにより感度が変化しますが、この機能により誤作動を減らすことができます。

自動通信テスト機能

無線通信で連動している機種に限られますが、無線の通信状態を確認し接続が切れている警報機があればお知らせしてくれる機能です。

その他の防災に役に立つ警報機

一酸化炭素(CO)警報機

ストーブなどの暖房器具の不完全燃焼をいち早く察知して一酸化中毒を防止します。また、ゆっくりと進行する火災では煙よりも前に一酸化炭素が大量に発生します。

住宅での使用は火災警報機と一酸化炭素警報機が併用されたものを使用することで、より安全安心な暮らしを送ることができます。

ガス漏れ検知器

都市ガス、液体石油ガスなどのガス漏れを検知する警報機です。

住宅で使用するガスには強い刺激臭が付いていますが、それでもその場を離れていれば発見が遅れるので、ガス検知器は便利と言えましょう。

ガス漏れ検知器には、

  • 都市ガス(天然ガス)検知タイプ
  • 液化石油ガス(LPガス、プロパンガス)検知タイプ
  • どちらも検知する併用タイプ

があります。

しかし、今あるほとんどのガス漏れ検知器は、都市ガス検知タイプか液化石油ガス検知タイプのどちらかに分かれています。

検知器の設置位置の違いですが、都市ガスは空気より軽いため部屋の上部に設置することが好ましいです。逆に液化石油ガスは空気より重いため部屋の下部に設置することでより効果を発揮します。

警報機の点検方法と点検頻度

住宅用の警報器に点検義務はありませんが、万が一のときに作動しなかったり誤作動を防止する上で、日常の点検をおすすめします。

主な点検項目は以下の通りです。

  • 外周りや内部に埃などの異物が付着していないか確認し、異物があれば取り除く
  • 電池切れや故障がないか確認する
  • テストボタンで音や光の作動状況を確認する
  • 使用期限が過ぎてないか確認する
  • 連動型であれば、接続状況の確認をする

月に1回以上の点検が望ましいです。

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