【虫歯予防】エナメル質を修復するフッ素の有効性と安全性は?

目次

エナメル質とは?

歯の構成は、主にエナメル質・象牙質・歯髄・セメント質の4つで構成されています。エナメル質とは歯の表面を覆っている組織のことをいい、その厚さはおよそ2〜3mmとされています。また、エナメル質は歯の健康を維持するために重要な役割を果たしており、特に虫歯に対しての強い防衛力を持っています。エナメル質の内側には象牙質があり、更にその内側には歯髄と呼ばれる神経があります。なお、セメント質とは歯根を覆っているものをいいます。

エナメル質と虫歯の関係

虫歯とはエナメル質が溶かされていく病気のことをいい、その状態によって虫歯の進行度が5段階に分類されます。

進行度歯の状態治療
C0エナメル質に穴が開く寸前の状態
歯の表面にザラつき・濁りなど
痛みは感じない
セルフケア
C1エナメル質に穴が開き始めた状態
歯の表面に溝ができる
痛みは感じない
セルフケア
詰め物
C2象牙質まで進行した状態
歯がしみる
多少の痛みを感じる
詰め物
被せ物
C3歯髄まで進行した状態
強い痛みを感じる
被せ物
抜歯
C4歯根だけ残った状態
神経が死亡し痛みを感じない
抜歯

C0あるいはC1のような虫歯の初期の状態であれば自宅でのケアでも対処できます。簡単な話が、これ以上エナメル質を溶かさせない、なおかつエナメル質を修復すれば良いわけです。

なお、これらについては「エナメル質が溶ける原因」と「エナメル質を修復するには?」で後述していますので飛ばして見たい方はリンクをクリックしてください。

ところが、虫歯がC2まで進行してしまうと自宅でどうにかできる問題ではなくなるため、歯科医院で治療を受ける必要がでてきます。

C2の症状

エナメル質に穴が開き象牙質まで虫歯が進行することで感じる痛みは、歯茎が下がって象牙質がむき出しになることによって生じる知覚過敏の症状と似ています。

C2以降ともなると、さらに速度を上げて虫歯が進行していきます。というのも象牙質はエナメル質より柔らかいことが理由となります。知覚過敏程度の痛みで済んでいたものが徐々に痛みが増していき、次第に普段の私生活がままならないほど強い痛みを感じるようになります。さらに進行すると神経が死亡し痛みを感じなくなります。また、歯の色が変色したり感染症を発症するなど様々な弊害をもたらします。

以上のことから、エナメル質の重要性や虫歯との関係性が分かっていただけたかと思います。

豆知識「むし歯?虫歯?」

むし歯と虫歯、表記上どちらが正しいのかという話ですが、「むし歯」が正解とのことです。ですが本記事では読みやすさを重視し虫歯と表記しています。

エナメル質が溶ける原因

エナメル質が溶ける原因は酸にあります。といのもエナメル質は酸に溶けやすい性質があるからです。そして酸によりエナメル質からリン酸カルシウムが溶け出すことを脱灰(だっかい)といいます。

普段、私達が食事をした後は口の中が酸性になり脱灰が起こりますが、この脱灰の進行がより早まってしまう原因が主に2つあるのです。

脱灰の進行が早まる原因
  • 酸性の強い食べ物や飲み物などを口にする
  • 歯を磨かないなど不潔にしている

酸性の強い食べ物や飲み物などを口にすることで、歯が柔らかい状態になることから脱灰の速度を早めます。また、歯を磨かないなど不潔にしていることで脱灰の進行を早める理由については、虫歯の原因菌であるミュータンス菌により歯に付着した糖類から歯垢(プラーク)を形成され、同時に酸を作り出すことにあります。この時できた酸が脱灰の原因となるため、食後にハミガキを行うなどして歯に付着した糖類を除去することが重要になります。甘い物が虫歯の原因とされるのは、砂糖や炭水化物などの糖類によって酸が作られるからというわけなのです。

エナメル質を修復するには?

エナメル質が溶け出すことを脱灰というと前述しましたが、一方で歯を修復することを再石灰化といいます。再石灰化は脱灰により溶け出されたリン酸カルシウムが唾液によって再び歯に取り込まれ組織を形成することです。

私たちの口の中では日々、脱灰と再石灰化を繰り返しています。つまり脱灰の進行が再石灰化の進行を上回れば徐々に歯が溶け出し次第に虫歯となります。逆にいえば再石灰化の進行が脱灰の進行を上回れば歯が修復していくというわけです。要するに、脱灰を抑制し再石灰化を促進することで虫歯を予防できるということです。

ではどうすれば再石灰化を促進できるのかというと、エナメル質を修復する鍵はフッ素にあります。

フッ素の有効性と安全性

フッ素にはエナメル質の再石灰化を促進させる効果があります。同時に虫歯の原因菌の活動を抑制し、酸を作りにくくする効果もあります。ですのでフッ素入りのハミガキ剤を使用することは、虫歯予防に対して非常に効果的な方法といえます。

一般に市販されているハミガキ剤のほとんどにフッ素は配合されているのですが、配合されている濃度に違いがあります。現在の日本の規制ではフッ素濃度の上限が1,500ppmと決まっています。

上限の規制があるってことは、フッ素って危険じゃないの?

フッ素に危険性があるかと思われるかもしれませんが、大量に飲み込まなければ問題ないとされています。国によっては1,500ppm以上の濃度のハミガキ剤を販売することが可能な国もあります。

実は日本では2017年までは1,000ppmが上限でしたが、フッ素の有効性と安全性が認められてきたため1,500ppmまで上限を緩和した経緯があります。歯科医院の施術で使用されるフッ素化合物は9,000ppmと市販のハミガキ剤と比較しても高濃度のものを使用していることから、適切に使用すれば安全性に問題もありません。世界的にもフッ素は歯の健康を維持する重要な物質との認識が高く、ハミガキ剤に使用されるフッ素濃度の上限値が今後さらに緩和されていくことも十分にありえます。

フッ素濃度のppmとは

フッ素濃度は「ppm」という単位が使われますが、この「ppm」とは「parts per million」の頭文字を取ったもので、「100万分の1」を表します。1ppmであれば0.0001%、1,500ppmでは0.15%の濃度ということになります。 

フッ素入りハミガキ剤の使用上の注意点

虫歯になり歯の一部を失うとエナメル質の修復は難しくなるため、少しでも早い段階でフッ素を用いた歯のケアをしていく必要がありますが、フッ素入りハミガキ剤には使用上の注意点があります。それは、6歳未満の子供に高濃度フッ素入りハミガキ剤の使用は控えることです。

フッ素の濃度が1,000ppmを超え1,500ppm以下のものは、使用上の注意として以下の事項を直接の容器等に記載するよう定められています。

  • 6歳未満の子供には使用を控える旨
  • 6歳未満の子供の手の届かない所に保管する旨

このように現時点では6歳未満の子供にはフッ素濃度1,000ppm未満のハミガキ剤を使用することが推奨されています。

それともうひとつ注意点があります。フッ素は水や唾液で簡単に流れてしまうのでハミガキ後のうがいはなるべく少なくすることです。口の中にハミガキ剤が残っている感覚があるのが嫌だと思うかもしれませんが、フッ素の効果を最大限活かすならハミガキ後のうがいは一回だけで十分です。不快さはあるかもしれませんが少量であれば身体に害はありません。

フッ素とは関係ないのですが、最後に研磨剤入りハミガキ剤について付け加えておきます。ハミガキ剤によっては研磨剤入りと謳われた商品があります。研磨剤は汚れを除去する効果は高いのですが、同時にエナメル質に傷を付けることになります。エナメル質の重要性はもうすでに前述した通りでありますので、虫歯予防という観点では研磨剤入りのハミガキ剤はなるべく使用しないほうが良いといえるでしょう。

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