相手に手の甲を見せた向きで中指を突き立てたハンドサインをファックサイン(🖕)と言う。これは侮辱や軽蔑、冒涜などを最大限に表現した卑俗なハンドサインである。英語では"the finger"や"the middle finger"と呼ばれるが、スラングを使用した口語表現では"fuck"が一般的である。
fuckは通常、性行為を表す。というのもファックサインは歴史的にも男根を表しているからだ。突き立てた中指は陰茎部、両側の人差し指と薬指は陰嚢部を表しているとされている。
fuckを使ったスラングとして"fuck you"や"motherfucker"、"fuck off"などがあるが、もちろん"fuck"や"fucking"の一単語だけでも十分に伝わる。これらは全て「クソ野郎・くたばれ・消えろ・失せろ」という意味で使用されるスラングだ。なお、"motherfucker"は直訳すると「母親と近親相姦する奴」となるが、実際にその意味で使用する場面はほとんどない。
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ファックサイン (the finger) |
ファックサインは古典古代[※]から使用されており、現代同様に男性器を象徴していた。また性行為の象徴としても使われていた。
[※]古典古代とは、古代ギリシア時代・古代ローマ時代を総称したもの。
ファックサインは長い歴史の中で、侮辱や軽蔑、威嚇や恫喝、性的で卑猥、愚かで恥知らず、下品で不快など様々な卑俗な意味で使われてきた。現代では「Fワード」と言い換えたり、「Fu○k」と伏せ字にしてみたりと、テレビやYouTubeなどを含め様々な媒体で自主規制の対象となっている。
とはいうものの、アメリカではFuckの言葉やハンドサインは違法ではない。確かにFuckは侮辱表現ではあるが、言語的コミュニケーションあるいは非言語的コミュニケーションの一つとみなされ、憲法上の権利とされている。ゆえに、犯罪でもなければ逮捕されることもない。
だが、これらの解釈は国によって違いがあり、また人によっても違う。違法ではないからといって安易に使用すれば、喧嘩に発展することは容易に想像できる。激昂した相手に何されるかわからないし、場合によっては生命に関わることもあるかもしれない。それだけ強い侮辱表現であるという認識を持ち、たとえ相手が仲の良い親友だったとしても、ファックサインは冗談でも使用すべきでない。
なお、一部の国の文化ではVサイン(✌)も同様に侮辱表現とみなされることがある。正確には相手に手の甲を見せたVサイン(裏ピース)が侮辱と捉えられることがある。よって、互いの認識の違いでトラブルに合うのをできるだけ避けるためには、使用しないことが最善策と言える。