【✊✌️🖐】海外のじゃんけん事情

じゃんけんは日本だけでなく海外でも人気の遊戯の一つである。日本のルールは手の形を「✊、✌️、🖐」のいずれに変化させ、３すくみによって勝敗を決するものだ。このとき、「✊は石」、「✌️はハサミ」、「🖐は紙」とされ、石はハサミで切れないので石の勝ち、ハサミは紙を切るのでハサミの勝ち、紙は石を包めるので紙の勝ち、というような屁理屈とも言えるルールで勝敗が決まる。

海外でも日本と同じルールで行われることが一般的である。ただ少しだけ違うのが✊をハンマーとする国や、🖐を布や葉とする国もある。しかしなぜか✌️だけはハサミとされていることだけは共通している。違いはそれだけで勝敗の付き方は日本と同じで「✊＞✌️」、「✌️＞🖐」、「🖐＞✊」となる。

しかしこれらとは少しだけ異なるじゃんけんをする国もあるので紹介する。

インドネシアのじゃんけん事情は少し異なる

インドネシアのじゃんけんは、ゾウ、人間、アリの３すくみとなる。手の出し方は、５本指のうちから１本だけ立てるのだが、親指はゾウ、人差し指は人間、小指はアリを表す。なお、３すくみの関係は「🐘＞🧍」、「🧍＞🐜」、「🐜＞🐘」である。アリがゾウより強いのは屁理屈に感じるが、それは言わないでおく。

実はこれ、日本の平安時代に流行ったとされる虫拳（むしけん）とよく似ている。虫拳とは、カエル・ヘビ・ナメクジの３すくみで戦うもので、親指はカエル、人差し指はヘビ、小指はナメクジを表す。なお勝敗は、カエルはナメクジに勝ち、ヘビはカエルに勝ち、ナメクジはヘビに勝つ。指だけで考えると３すくみの勝敗はインドネシア式とは逆になるがそれ以外大きな違いはない。

フランスのじゃんけんは４すくみで戦う

さて次にもう一つ、フランスのじゃんけんを紹介する。というのもフランスのじゃんけんは４すくみで戦うからだ。

フランスのじゃんけんは、✊✌️🖐に👌を加えた４すくみのじゃんけんを行う。なお、👌はピュイと発音し日本語では井戸のことを指すのだが、その形は親指と人差し指で輪っかを作ったものである。ちなみに、✊はピエールと発音し「石」のことを指し、✌️はフェイユと発音し「木の葉」のことを指し、🖐はシゾーと発音し「ハサミ」のことを指す。

そして、勝敗は以下の通りになる。

自分の手	勝ち	負け
✊	✌️	🖐👌
✌️	🖐	✊👌
🖐	✊👌	✌️
👌	✊✌️	🖐

このように、✊と✌️は１種類にしか勝てないにもかかわらず、🖐と👌は２種類の手に勝つことができるのだ。つまり🖐か👌を出すほうが期待値が高いのは当然である。なので、戦略を知らない子ども同士の戦いならこの必勝法で十分な勝率を稼ぐことができる。

しかし一見欠陥とも思える４すくみじゃんけんを、大人同士が戦ったらどうなるだろうか。

基本的に✊は出せない。そもそも相手が✌️を出す時点で奇策なのだから、それに対抗する手段の✊なんて勝てるわけないと思考が働く。このような思考を巡らせ相手の裏をかき、さらにその裏をかく。じゃんけんを始める前に✊を出すと宣言してもいい。そうやってかき乱し、場を掌握するのも戦略だ。

このように４すくみのじゃんけんは戦略的要素があって面白いのだ。とはいえ、大人同士の戦いでも🖐か👌だけを出しておけば必然的に勝率が高くなるのは間違いないだろう。

と色々と言ってきたが、日本を含め世界には様々なローカルルールのじゃんけんが存在する。腕の広げ方でじゃんけんしたり足の広げ方でじゃんけんしたりと、身体を使うじゃんけんは数え切れないほど存在しているのだ。同様に４すくみ、５すくみ、あるいはそれ以上のすくみのあるじゃんけんも数え切れないほどあるだろう。